いつもガタガタ

魂が震える話
ゆう けい氏著より


葬儀

生前、父の髪はいつもかたガタガタでした。
毎回自分で切っていたのです。

葬儀屋の人に「整えましょうか?」とたずねられた時は

「そのままにしてください」と答えました。

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お父さん

小学生の頃は、父を

「カタカタ、ガタガター」と笑ってからかったものです。

父も一緒に笑って、お腹や背中をくすぐって遊んでくれました。

バスケ

でも、中学生になってから、ある日、部活のバスケの試合を応援しに来た父に僕は激しく怒ってしまいました。

「なんで応援に来たんだよ!
俺が恥ずかしいんだよっ!
そんな恥ずかしい格好して来んなよっ!」

父は怒り返すこともなく、さみしげな目をしていたのを今でも覚えています。

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喪服

悲しみにひたる時間もなく、葬儀は慌ただしく終わりました。
一息ついていると、母がやって来て聞きました。

「ねえ、なんでお父さんの髪がガタガタだったか、知つてる?」

僕は首を横に振りました。

「お父さんね、ああ見えて昔はオシヤレでね……。
想像できないかもしれないけど髪型にもすごく気をつかってたんだから」

母が出した1枚の写真。
そこに、髪が整った父を初めて見ました。

「でもね、あなたが6歳の頃から自分で切り始めたの……。
中学生の頃まで家族三人で毎月行ってたレストラン、覚えてる?
あのレストランに最初にあなたを遅れて行った次の日ね、あなたは泣き叫んでお父さんに言ったのよ。

ハンバーグ

『昨日のハンバーグが食べたい!!
すごくおいしかったから、また食べたい!!』つて。
 

それから毎月一度あのレストランに行くようになったの。
お父さんの散髪代でね

ハサミ

ちっとも知らなかった。

涙がぼろぼろとこぼれ落ち、母の顔も見られなくなりました。

我が家の仏壇には今も生前、父が使っていたハサミと、ガタガタな髪で笑っている父の遺影があります。

僕は父を誇りに思います。


あなたは悔いのない人生を過ごしてきましたか?!


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今、出来ることを大切にしまよう!

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最後まで読んで頂きましてありがとうございます。

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