4分間の奇跡

ちょっといい話
佐藤光浩氏著より


自閉症

アメリカ、ニューヨーク州のある高校に、友だちから「ジェイ・マック」と呼ばれている少年がいました。

彼は幼いときに自閉症と診断され、5歳になるまで言葉を発することもできなかったそうです。
 
彼はバスケットボールが大好きで、高校でもバスケットボールチームに所属していました。

モップ掛け

ただ、それは選手としてではなく、マネージャーとして。

彼はチームでの3年間ずっと雑用を引き受け、試合では出場する選手たちのために、誰よりも大きな声で応援をします。

彼は一度も試合には出ていませんが、試合での雑用や応援を休んだことは、3年間で一度しかなかったそうです。

また、他の選手たちの練習が終わった後、一人で黙々とシュート練習をしていたといいます。
 
そして、彼の高校生活で最後のホームゲームとなる試合がやってきました。
試合前、監督は彼にユニフォームを着ておくようにと指示を出します。

バスケットボール

それは、これまで3年間チームのために尽力してくれた彼を、出場させてあげたいという思いからでした。
 
彼が試合に出るかもしれない。
その噂を間いた生徒たちは大騒ぎ。

彼の顔写真を段ボールに貼り付けた団扇を作り、試合会場に押しかけました。

試合時間残り4分。

コート

ついに彼は高校生活ではじめて、試合のコートに立ちました。

そして、すぐにシュートチャンスが訪れますが、彼の放ったボールはゴールを大きくそれてしまいます。

しかし、チームメイトたちは彼にゴールをさせてあげようと、懸命にパスを回します。 

そのとき、奇跡が起こりました。

彼が3ポイントエリアから放ったボールが、美しい弾道を描きながら、
ゴールに吸い込まれていったのです。

試合を見ていた生徒たちは歓喜の声を上げ、団扇を振り回して喜びます。
しかし、彼の活躍はそれだけでは終わりません。

シュート

シュート、シュート、シュート…。

彼の放つ3ポイントシュートは、魔法にでもかかっているかのように決まりました。 

最終的に、彼は1人で20得点を挙げ、この試合の得点王になっていました。

さらに、3ポイントシュートを1試合に6本決めるという、彼の高校タイ記録まで樹立してしまったのです。

試合終了が告げられ、夢のような4分開か終わりました。

チームメイト

チームメイトはもちろん、応援していた生徒たちも一斉にコートに降り、彼の元へ駆け寄ります。

そして、チームメイトらから身体を持ち上げられた彼は、右手をぐんと突き上げて声援に応えました。

彼のシュートは、彼とチームメイトと応援に駆け付けた仲間の全部の力が
一つになってゴールに吸い込まれたんだね・・・

まさに奇跡としか言えないけど・・・

奇跡をおこすために、他の選手の練習の後
一人黙々と練習していた努力を神様はちゃんと見ていてくれたんだ!

でも、こんなに活躍するならもっと早くに試合に出してあげてよ!
って、思ったのは俺だけじゃないはず!

一番喜んだのは、間違いなく両親だね!
俺が彼の父親だったら、号泣してるよ!


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